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2009年7月

演奏会レポート:石上真由子ヴァイオリンリサイタル

前日の京響定期に続いての連続コンサート2日目。ルクー聴きたさに足を運んだ演奏会でした。
ヴァイオリンの石上さんは初めて聴く方なので予想ができなかったのですが、ピアノの船橋さんは今までに滋賀、京都、大阪でここ10年の間に何度も室内楽のピアノパートを演奏されてきたのを聴いていて、安心できる演奏をされるアンサンブル・ピアニストなのが十分にわかっていたので楽しみでした。

2009年7月24日(金) 19:00 京都府立府民ホール アルティ
石上真由子 ヴァイオリンリサイタル 京の俊英演奏家シリーズ Vol.36

ピアノ 船橋美穂

曲目
ヤナーチェク ヴァイオリン・ソナタ
ジョリヴェ   スイット ラプソディック
イザイ    悲劇的な詩 op.12
ルクー    ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ト長調

プログラムに書かれていたプロフィールを見てびっくりしたのが、石上さんの年齢。1991年生まれの高校3年生。そんなに若いのに、昨年の京都フランス音楽アカデミーでは受講生による終了コンサートに出演し、これまた昨年の日本音楽コンクールではヴァイオリン部門2位と岩谷賞(聴衆賞)を受賞している、という経歴の持ち主で、かなり期待できそうと感じました。

演奏が始まってみると、ヤナーチェクのソナタを演奏する姿の真摯さに心を惹かれました。もちろん演奏そのものも素晴らしかった。続いてのジョリヴェは無伴奏作品で、演奏する側にとっても聴く側にとってもかなり難しい曲でしたが、かなり技巧的に難しいと思われる奏法もしっかり決めていました。

休憩を挟んでのイザイも相当に気合の入った演奏でしたが、なんと言ってもプログラムの最後のルクーが圧巻でした。
第1楽章の最初の音からして、今までに聴いたルクーのソナタの演奏と違って、すごくのびのびとおおらかな演奏だったのです。第2楽章は少し速めのテンポで、儚い気分を醸し出していました。第3楽章は一転して熱を帯びた演奏で、曲が進むにつれて聴いている私のボルテージがどんどん上がってきて、文字通り手に汗握るくらいの熱い演奏でした。
曲が終わったときに思わずブラボーの声を上げていた自分にびっくりしました。

ルクーを全曲弾き終わってほっとしたのか、感極まってしまったのか、思わず泣き出した石上さん。
「ああ、やっぱりまだ高校生やなぁ」、と微笑ましく思いました。

アンコールは、ドビュッシーの亜麻色の髪の乙女、ラヴェルのハバネラ、フォーレの子守唄の3曲で、本当に楽しそうに演奏していた姿が印象的でした。

このリサイタルを通して聴いてみて感じたのは、石上さんの演奏が非常に確かなもので、これからの成長がとても楽しみということです。
それにしても・・・、高校生がルクーを演奏する時代になったのか、と感慨深いものがありました。

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演奏会レポート:京都市交響楽団第526回定期演奏会

今週は、木曜日に京響定期、金曜日にヴァイオリンリサイタルと、久々にコンサート続きでした。
今回の京響定期はショスタコーヴィチの5番がお目当て。ショスタコーヴィチの交響曲はずいぶん久しぶりに聴きます。昨年8月の定期で交響曲8番が演奏されたのですが、当日はアクシデントがあって聴き逃してしまい悔しい思いをしたのでした。

2009年7月23日(木) 19:00 京都コンサートホール 大ホール
京都市交響楽団第526回定期演奏会

指揮 大野和士

曲目
ラヴェル      ラ・ヴァルス
ラヴェル      マ・メール・ロワ
ショスタコーヴィチ 交響曲 第5番 ニ短調

京響初登場の大野さん。プレトークでは、先日逝去された若杉弘さんに教えを受けたことなどを話されていました。ショスタコーヴィチについてのトークでは、「ムツェンスク郡のマクベス婦人」の初演翌日に「音楽の代わりに荒唐無稽」と批判をされて危機に陥り、初演に向けて練習中だった4番のスコアを撤収し、その後5番を公開するものの同時期に公開した6番はふざけてみたり、7番と8番、9番と、体制(≒スターリン?)に迎合する振りを見せつつ、沈痛だったり肩透かしを食らわせたりと、一筋縄でいかないショスタコーヴィチについて語られていました。

冒頭、若杉さんの追悼に、バッハの管弦楽組曲より「アリア」(いわゆるG線上のアリア)演奏されました。こういった追悼の演奏に対しては拍手をしないのが通例ですが、あまりの美しい演奏に一部拍手が起こっていました。

アリアの後、前半はラヴェルの2曲。ラ・ヴァルスの優雅さと華麗さと大胆さ、マ・メール・ロワの夢のような、おとぎ話のような美しい世界を、たっぷりと楽しんだところで20分の休憩。

後半のショスタコーヴィチ5番。特に第1楽章の中間部、第4楽章では軍隊の進軍を連想し、作曲当時の1937年のきな臭さを感じました。
第4楽章については、かつて喧伝された「苦悩から歓喜へ」とも、ヴォルコフの「証言」で触れられた「強制された歓喜」とも異なる印象を受けました。圧倒的な力の前に「歓喜した」振りをした、とでも言うのか・・・。
おそらく、大野さんのショスタコーヴィチは、今までとは異なる解釈なのかも、という気がしました。

ラヴェルも、ショスタコーヴィチも、とってもいい演奏で、2時間たっぷり楽しめました。

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ルーブル美術館展

先週の土曜日の朝、まったくの予備知識なしでルーブル美術館展を観に京都市美術館に行ってきました。

まず最初に興味を惹きつけられたのは、17世紀スペイン派(作者不詳)の「法悦の聖フランチェスコ」。

下は、ルイス・トリスタンの「法悦の聖フランチェスコ」。同じ題材でも背景が異なるとずいぶんと印象が変わります。

最も印象に残った1枚は、ドメニコ・フェッティの「メランコリー」。鬱々とした表情の、簡素な身なりの女性が明るい戸外で髑髏を抱いているのがなんとも気になります・・・。

ヨアヒム・ウワテールの「アンドロメダを救うペルセウス」は、ギリシャ神話でおなじみのアンドロメダの物語のクライマックスのシーンです。女性の美しい裸体に目を奪われてしまいますが、その足元には、貝殻に混じって人骨が転がっているところにエチオピアの荒廃を見て取ることができます。この絵を見た瞬間に、ルクーのカンタータ「アンドロメダ」が頭の中でフラッシュバックしました。

カルロ・ドルチによる受胎告知の作品。1枚目が「受胎告知 天使」。

2枚目が「受胎告知 聖母」。

キリストの母マリアの天使としての側面と聖母としての側面を描き分けたものらしいですが、いずれも乳白色の肌の美しさに目を奪われました。

ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの「大工ヨセフ」は、ろうそくの明かりに照らされた幼きイエスの表情が印象深かったです。

まったくの予備知識なしで観に行ったルーブル美術館展でしたが、印象に残った作品の多くは宗教画でした。私自身は特に信仰している宗教はないのですが、聖フランチェスコの苦しみのにじむ表情や受胎告知の神秘、他にも福音書の作者を描いたものなど、作者の信仰心は、信仰のない人間にも伝わってくるものだな、と実感しました。

展覧会を観に行って残念だったのが、ものすごい人だかりができていて!フェルメールの絵をまったく見ることができなかったこと。9月末まで展覧会は開催されているので、今度は朝一番に行ってフェルメールの絵をじっくり見たいものです。

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演奏会案内:2009年8月分

例年8月は聴きに行きたい演奏会は少ないのですが、そんな中でも今年の8月は3つありました。

8月5日(水)19:00 ザ・フェニックスホール
ブラームス/ピアノとヴァイオリンのためのソナタ全曲演奏会 フェニックス・エヴォリューション・シリーズ [54]

出演
ヴァイオリン 北島佳奈
ピアノ    前田勇佑

曲目
ブラームス ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第1番 ト長調 op.78「雨の歌」
       第2番 イ長調 op.100
       第3番 ニ短調 op.108
       スケルツォ (「F.A,E.のソナタ」より 第3楽章)

ブラームスのソナタ全曲演奏会は、ありそうで意外とないので聴きに行きたいのですが、夏休み前のこの時期に都合をつけて大阪までいけるかどうか・・・。

8月8日(土)17:00 バロックザール 青山音楽記念館
野村友紀 チェロリサイタル

ピアノ 内田美保

曲目
シューマン 幻想小曲集 op.73
プーランク チェロソナタ
ブラームス チェロソナタ 第2番 ヘ長調 op.99

今までなぜか実演で聴いたことがないブラームスの2番と、珍しいプーランクのソナタを一気に聴ける点でかなり興味深いです。

8月10日(月)19:00 京都コンサートホール 小ホール
京都市交響楽団メンバーによる 京都 ラ ビッシュ アンサンブル Vol.7

ヴィオラ(ゲスト) 大山平一郎

曲目
メンデルスゾーン 弦楽五重奏曲 第2番 変ロ長調 op.87
ヒンデミット    八重奏曲(1957-58)
          クラリネットとコントラバスのための二重奏「音楽の花園」(1927)

ラ・ビッシュ・アンサンブルは、京響メンバーによる管弦楽八重奏のアンサンブルで、昨年6月のブラームスの演奏が非常に印象深く、聴きに行く機会を狙っていたのですがようやくその機会にめぐり合うことができました。
管弦楽八重奏ということで、普段の室内楽の演奏会ではなかなか聴くことのできない珍しい曲目が入っていることがこのアンサンブルの演奏会を聴きに行く楽しみなのですが、今回のヒンデミットの八重奏曲、いったいどんな曲なのでしょう?

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