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2009年3月

演奏会レポート:京都市交響楽団第522回定期演奏会

今年初めて聴いた京響定期。今回のお目当てはマーラーの5番で、おそらく実演を聴くのは10年ぶりくらい。今回の京響は本当にいい仕事をしてくれました。一晩経った今もまだ興奮が醒めません。京響、ほんまに最高!

2009年3月27日(金) 19:00 京都コンサートホール 大ホール
京都市交響楽団 第522回定期演奏会
指揮 尾高忠明

曲目
武満徹 死と再生~「黒い雨」より~
武満徹 トゥイル・バイ・トワイライト~モートン・フェルドマンの追憶に~
マーラー 交響曲第5番嬰ハ短調

開演前の18:40から、尾高さんによるプレトークがありました。
何でも、京都コンサートホールはサントリーホールと同じ人による設計だそうで、尾高さん自身も大好きなホールとのことでした。プログラムについても説明をされ、武満の「死と再生」の中にはマーラー5番第1楽章の葬送行進曲を引用しているということでした。

死と再生は、井伏鱒二の小説「黒い雨」を今村昌平監督が映画化したときの音楽が原曲とのこと。編成は弦楽器のみで、それもかなり小さな編成でした。ひそやかな響きの中に不条理に対する怒りの表情が見え隠れして、胸に残る非常にいい曲でした。
トゥイル・バイ・トワイライトは、管楽器、打楽器とピアノも加わり、大編成での演奏でしたが、音量を上げるというよりは各パートが少しづついろいろなモチーフを演奏する、まるでモザイクのような印象を持ちました。

20分の休憩を挟んで後半のマーラーは、一言で言えば圧巻でした。第1楽章冒頭のトランペット・ソロが、本当によかった。完璧な仕事をしてくれました。あの冒頭のソロがしっかり決まらないと曲全体が締まりません。第1楽章、第2楽章の嵐のような音楽、第3楽章のホルン・ソロとオーケストラの掛け合いのおどけた音楽もよかったけれど、アダージェットが本当に美しかった。甘美さと切なさが入り混じって、思わずほろっと涙が出そうでした。
アダージェットからアタッカで続く第5楽章のロンド、各パートの掛け合いも聴き応えは十二分、コーダのアッチェレランドでどんどん盛り上がって曲が終わったときは、まだ残響が残っていたけれど思わず拍手していました。

今まで聴いた京響の演奏の中でも、1993年ごろの井上道義指揮によるベリオのシンフォニアと並んで最高の演奏だったと思います。

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演奏会レポート:2009年3月20日、コンサート2題

20日(金・祝)は、京都市内でコンサートのハシゴをしてきました。十数年のコンサート鑑賞暦の中で1日に複数回のコンサートを聴くのは記憶にある範囲ではおそらく3回目でした。

3月20日(金・祝)15:00 バロックザール 青山音楽記念館
渡辺玲奈 フルートリサイタル [2003年度青山音楽賞受賞 研修成果披露演奏会]
ピアノ 成田有花

曲目
J. S. バッハ    フルートソナタ イ長調 BWV.1032
シュトックハウゼン 友情にて
シューベルト    「しぼめる花」の主題による序奏と変奏曲 D.802 op.160
C. P. E. バッハ  無伴奏フルートソナタ イ長調 Wq.132
ブーレーズ     ソナチネ

プログラムの前半がJ.S.バッハとシュトックハウゼン、後半がシューベルト、C.P.Eバッハ、ブーレーズという、非常にユニークな組み合わせでした。
特に印象深かったのがシュトックハウゼン。まるで舞台上で芝居を演じるかのように体を動かしながらの演奏で、フルートの音域をフルに使ったり、管に息を吹き込むだけの音を出したり、必ずしも耳に心地いいとは言えないながらも、非常に面白い演奏でした。
休憩後のシューベルトの「しぼめる花」は、シュトックハウゼンの後だけに気持ちが安らぎました。
最後のブーレーズは一度聴いただけでは曲のイメージが掴みにくかったのですが、音色の変化、細かい旋律、聴き処満載で楽しめました。

3月20日(金・祝)18:00 京都府立府民ホール アルティ
モーツァルトに会いたい [5] ピアノコンチェルト
ピアノ       河野美砂子
第1ヴァイオリン 玉井菜採、梅原ひまり、塩見裕子、濱名まり絵、荒巻美紗子
第2ヴァイオリン 田中美奈、山本裕樹、上敷領藍子、渡辺明日香
ヴィオラ      山本由美子、中田美穂、木田佳余
チェロ       河野文昭、五味敬子
コントラバス   南出信一
フルート     長山慶子
オーボエ     大島弥州夫、東口佐和子
クラリネット    小谷口直子、松尾依子
ファゴット     畦内雅人、野村智恵
ホルン      村上哲、蒲生絢子
トランペット   竹森健二、横田健徳
ティンパニ    山本毅

曲目
モーツァルト ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488
       ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491

このピアノ協奏曲の演奏は指揮者なしの演奏、ピアノは演奏者が客席を向くように配置されていました。また、ピアノのふたが取り外されていたことによって管楽器の音も聴き取りやすくなっており、協奏曲というよりは室内楽的な側面が強調されたと感じました。
また、24番の第1楽章では河野さんが今回のために書き下ろしたカデンツァが演奏されました。第1楽章で現れた主題や音形が随所にちりばめられていて、あたかも第1楽章をおさらいしているかのような気分になりました。ヴィルトゥオーゾ的なカデンツァを期待する向きには物足りなかったかもしれませんが、カデンツァのあり方としてこういうのも悪くはないのかな、と感じました。

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Windowsのエラーダンプ解析

昨年の6月に設計を開始し、この2月で一応の完成を見たWindowsアプリケーションを、チームの人に試用してもらっていたところ、「特定の操作をするとアプリが落ちることがある」という報告を受けていました。しかも、一見したところ再現性がない、と。

最初は、ソースコードを読んでバグのありそうなところを一つづつ潰していき、怪しそうな部分にログ出力コードを埋め込み、非常にに怪しいと思われる部分をtry-catchで囲ってみたりしたものの、それでもアプリがクラッシュ(;_;)

で、最後の手段と思って、その名も「Windowsダンプの極意 エラーが発生したら、まずダンプ解析! 」なる本を買いました。

UNIX系OSであればcoreダンプはおなじみのはずで、10年ほど前に(私のキャリアの中で唯一)HP-UXのアプリを開発したとき、かなりお世話になったものですが、Windowsでも同じことができる、というわけです。

つまり、アプリがクラッシュしたときにダンプファイルを出力させ、そのファイルを後から(別のPCでもOk)解析してエラーの原因を突き止めるということが可能になるわけです。

解析に先立って、エラーダンプを解析するためのwindbgというデバッガをマイクロソフトからダウンロード&インストールしたり、リリースビルドでmapファイルを出力するようにVCプロジェクトを設定したり、ターゲットマシンでダンプファイルを出力する設定をしたり、といった準備をしておき、今朝、ダンプファイルをゲット。

昼過ぎまで別の作業があったので、午後3時ごろから解析開始。
windbgの使い方に慣れていないのと、スタックトレースを追いつつ逆アセンブルコードを眺めつつmapファイルを見て対応するソースコードを探したり、で2時間経過。

結果、WM_MOUSEMOVEイベントハンドラの中で落ちていることがわかり、後はソースコードレベルの解析に切り替え。さすがにソースコードレベルの解析は手馴れているので、コードを見た瞬間に「あちゃ~^^;」。
マウスカーソルが特定の場所にあるときに限ってちょっとしたデータ処理をする必要があり、データがゼロのときに処理してはいけないはずのところで処理を突っ走ってしまって不正なメモリ領域をアクセスしていた、というオチでした。

試用してもらっていた環境が「VistaにインストールしたVirtual PC上で動作するXP環境」だったので、その環境に特有の問題かと(根拠のない)推測をしていたのですが、何のことはない、(こう言うのもなんですが)ごく普通のバグでした(--;)

ともあれ、エラーダンプ解析はかなり有用だ、ということが身をもって分かりました。

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演奏会案内:ラ・フォル・ジュルネ金沢

今年も金沢で5月2日から5月4日まで「ラ・フォル・ジュルネ」の有料公演が開催されます。今回のテーマはモーツァルト。

こちらがラ・フォル・ジュルネ金沢の公式サイトです。

モーツァルトの曲で好みのジャンル(とは言え、それほど詳しくもないのですが・・・)はピアノソナタとピアノ協奏曲なので、今回聴きに行く公演はピアノソナタとピアノ協奏曲に集中しています。聴きに行く予定の21公演のうち、13公演がピアノソナタかピアノ協奏曲。それ以外にはメジャーどころの「アイネ・クライネ」や、ハイドンセットから「不協和音」とト長調、クラリネット協奏曲、レクイエムあたりです。

今回の注目は菊池洋子さん。今回のラ・フォル・ジュルネで初めて名前を知り、CDも買ってみましたが、「ぜひ実演を聴いてみたい!」と思って菊池さんの公演のチケットは全て確保しました。
あと、どうしてもはずせないのはポール・メイエ。クラリネット協奏曲、クラリネット五重奏曲、「ケーゲルシュタット」トリオも押さえておきました。

前回のような「マルチ・パス」チケットが廃止されて全て指定席になったので、チケット待ちで開演1時間前から列に並ぶ必要がなくなり、体力的には余裕ができそうですが、3日間で21公演、全部聴きとおすことができるのか?大いに謎です(^^;)

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演奏会案内:2009年4月分

2009年4月に聴きに行きたいコンサートをピックアップします。5月の「ラ・フォル・ジュルネ金沢」に向けてパワーを温存しておきたい気持ちがあるので、ちょっと少なめです。

4月4日(土)15:00 バロックザール 青山音楽記念館
ブラームス ヴァイオリンソナタ 全3曲
ヴァイオリン 田代美恵子
ピアノ    スタニスラフ・ボグニア

曲目
ブラームス ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 第1番 ト長調 op.78「雨の歌」
       第2番 イ長調 op.100
       第3番 ニ短調 op.108

ブラームスのソナタの全曲演奏は意外と演奏機会が少ないのでかなり前からチェック済みで、既にチケットも確保しています。

4月29日(水・祝)14:00 紀尾井ホール
小林武史楽壇生活60年記念 ヴァイオリン・リサイタル
ヴァイオリン 小林武史
ピアノ    野平一郎
弦楽合奏  コレギウム・ムジクム東京(指揮・夏田昌和)

曲目
夏田鐘甲  ヴァイオリンと弦楽合奏のための3つのバラード
野平一郎  ヴァイオリンとピアノのための「デュオ・コンチェルタンテ」
A・マニャール ヴァイオリン・ソナタ

マニャールの曲を聴く機会など、そうそうあるものでもなく、私が記憶している限りでは10年ほど前に京都でピアノトリオを聴いたことがあるくらいです。この機会を逃すと、次にマニャールの曲を聴けるのはいつになることやら・・・。5月にラ・フォル・ジュルネで金沢に行くのでお財布事情がちょっと厳しいですが、思い切って行ってみようか・・・。

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村上春樹さんのエルサレム賞受賞記念講演

先日、ネットやテレビのニュースで、作家の村上春樹さんがイスラエルの文学賞である「エルサレム賞」を受賞されたと報じられました。
そのときの村上さんのスピーチのうち、「高くて頑丈な壁と、壁にぶつかれば壊れてしまう卵があるなら、私はいつでも卵の側に立とう」というフレーズだけが取り上げられていたのですが、この度、毎日新聞のサイトでスピーチの全文が掲載されました。

学生時代に「ノルウェイの森」がベストセラーになっていたものの、あえてそれをやり過ごし、その10年後(今から10年ほど前)にとあるきっかけで「ねじまき鳥クロニクル」を読んですっかり村上さんの作品のとりこになったのですが、今回のスピーチでも村上さん独特の世界観(誰も真似のしようのない隠喩やジョークのセンスも含めて)が現れていたように思います。

特に私の胸を打ったのは、以下のくだりです。

きょう私が皆さんにお伝えしたいのは、たった一つです。私たちは皆、国籍や人種や宗教を超えて人間であり、体制という名の頑丈な壁と向き合う壊れやすい卵だということです。どう見ても、私たちに勝ち目はなさそうです。壁はあまりにも高く、強く、冷酷です。もし勝つ希望がわずかでもあるとすれば、私たち自身の魂も他の人の魂も、それぞれに独自性があり、掛け替えのないものなのだと信じること、魂が触れ合うことで得られる温かさを心から信じることから見つけねばなりません。

 少し時間を割いて考えてみてください。私たちはそれぞれ形のある生きた魂を持っています。体制にそんなものはありません。自分たちが体制に搾取されるのを許してはなりません。体制に生命を持たせてはなりません。体制が私たちを作ったのではなく、私たちが体制を作ったのですから。

これは、イスラエルに限らず、程度の差はあれ、どこの国のどのような体制についても言えるのではないでしょうか。
それは、近隣の独裁体制国家は言うに及ばず、日本やアメリカも例外ではありません。

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