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2008年12月

演奏会レポート:2つの第九

12月下旬から1月中旬にかけて、ベートーヴェンの曲を中心に聴きに行く「ベートーヴェン強化月間」と化している(^^;)のですが、第1弾に若林顕さんのリサイタル、第2弾に京響の演奏会を聴きに行きました。

2008年12月20日(土) 14:00 京都コンサートホール 小ホール
若林 顕 ピアノ・リサイタル「たった1人の第九」

曲目
ベートーヴェン       ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 op.57「熱情」
ベートーヴェン(リスト 編) 交響曲 第9番 ニ短調 op.125

「熱情」はリサイタルでは初めて聴きましたが、おそらく、非常に正統的な演奏ではなかったかと思います。
休憩を挟んでの第九。リストによるピアノソロ編曲版はNaxosのCDで聴いたことはありましたが、当然ながら実演は初めて。
ピアノ1台だけで演奏されているのですが、弦楽器、管楽器、打楽器の音色を無意識的に頭の中で再現してしまい、オリジナルの管弦楽版の演奏を聴いているかのような気にさえなりました。
問題の第4楽章、独唱および合唱の入るところでは、歌パートの単旋律の方がメインで、管弦楽パートの方は伴奏として扱われているように感じ、ピアノによる単旋律にも関わらず、頭の中で歌詞を再現してしまいました。コーダのプレストはさすがにピアノで演奏するには厳しいものはありましたが、聴いていて非常に気分が高揚する、そんな演奏でした。

アンコールは、千住明のエターナルストーリーと、バッハのプレリュード(平均律第1巻第1番でないことだけは確かですが・・・)。

ちなみに、若林さんによる、リスト編曲版の第九は最近CDがリリースされました。

12月26日(金)19:00 京都コンサートホール 大ホール
京都市交響楽団 特別演奏会 第九コンサート

指揮    広上淳一
ソプラノ   釜洞祐子
メゾソプラノ 菅 有実子
テノール   市原多朗
バリトン   河野克典

曲目
モーツァルト  アヴェ・ヴェルム・コルプス K.618
ベートーヴェン 交響曲 第9番 ニ短調 op.125「合唱付」

こちらはベートーヴェンのオリジナル管弦楽+独唱+合唱版です。この通常バージョンで第九を聴くのはおそらく数年ぶりではないかと思われます。
そのとき聴いたのは、某アマチュア合唱団主催のものでしたが、ウムラウトつきで発音するはずのところをウムラウトつきとウムラウトなしで発声する人が混じっていて、それを聴いた瞬間にげんなりしてしまった経験があり、ちょっとしたトラウマになってしまって、しばらく第九を避けていた、というのが本当のところなのですが。

今回はチケット確保に出遅れてしまい、確保できたのはボディウム席。指揮者の顔を見下ろすことができる位置でした。最初は「えーっ」と思ったのですが、「まあ、たまにはこういう席で聴いてみるのも一興かな」とポジティブに考えを切り替えました(笑)

今回のプログラムのモーツァルトは、ケッヘル番号からも推測できる通り1791年の作品で、弦楽合奏+合唱という編成の宗教曲。晩年のモーツァルト作品に独特な澄み切った音楽でした。プログラムによると、この作品が作曲されたバーデンでベートーヴェンも第九を作曲した、といういわば「バーデンつながり」(?)で取り上げられたようです。

第九は、気持ち速めのテンポ。今回は合唱パートの人数が少なくて、オーケストラと同じ舞台に立っていたために、オーケストラの編成はやや小さめ。ちょっと響きが薄いとも感じましたが、その分小回りが効いていたようにも感じました。
第4楽章は、第1楽章、第2楽章、第3楽章のエピソードを低弦による歓喜の歌の主題で否定してから、歓喜の歌をまず管弦楽で導入し、独唱と合唱に導いていく、という巧みさに、いつどんな演奏で聴いても感銘を受けるのですが、今回の演奏でも感銘を受け、思わず目頭が熱くなりました。

第九の演奏会で通常アンコールはないのですが、今回は特別にアンコールがありました。大河ドラマ「篤姫」のテーマ曲でした。
「いろいろあったけど、優しく穏やかに過ごそうよ」というメッセージが感じられ、今年を象徴する1曲なのかな、とも思いました。

ところで。
広上さんの指揮を聴くのは今回初めてでしたが、結構唸り声がすごかった(笑)
通常の客席で聴いていて聞こえたかどうかは不明ですが、そこはボディウム席の役得というべきか・・・?
「指揮者の唸り声マニア」というジャンルの人には堪らないかも。

今年は、大晦日に東京文化会館で、ベートーヴェンの中期・後期弦楽四重奏曲を7時間聴き倒して締めくくります。

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演奏会案内:2009年1月分

2009年1月に聴きに行く予定(or行きたい)コンサートを列挙します。1月は3ヶ日明け早々、行きたいコンサートがあるわ、ヴァイオリンの摂取率が妙に高かったりするわ・・・(^^;)。

2009年1月4日(日)16:00 モーツアルト・サロン
板谷真以子(ヴァイオリン) &上野 円(ピアノ) デュオリサイタル
曲目
モーツァルト ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 変ロ長調 KV.378
シューベルト ヴァイオリンとピアノのためのソナタ(ソナチネ) ト短調 op.178 D.408
ブラームス  ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ニ短調 op.108

年明け一発目のコンサートでいきなりブラームスのソナタとは渋すぎます(^^;)が、大好きな曲なので聴きに行くことは決定!です。

2009年1月6日(火)19:00 京都コンサートホール 大ホール
京フィル 第161回定期演奏会「ニューイヤー コンサート」

指揮 佐藤俊太郎

曲目
ベートーヴェン 交響曲 第3番 変ホ長調 op.55「英雄」
         交響曲 第5番 ハ短調 op.67「運命」

これまた新年早々、ベートーヴェンのシンフォニーとは・・・。2008年12月後半に引き続いての「ベートーヴェン強化月間」になりそうです。

2009年1月10日(土)14:00 栗東芸術文化会館さきら 大ホール
玉井菜採 ヴァイオリン・リサイタル

ピアノ 中島由紀

曲目
プーランク     ソナタ
ブラームス     ソナタ第1番 雨の歌
ショーソン     詩曲
武満徹      妖精の距離
ドヴォルジャーク ロマンス
サンサーンス   序奏とロンドカプリチオーソ

玉井菜採さんのリサイタルは、聴きに行ったことがありそうで意外となかったので、チケットは早々に押さえました。

2009年1月12日(月・祝)14:00 兵庫県立芸術文化センター 大ホール
ヒラリー・ハーン ヴァイオリン・リサイタル

ピアノ ヴァレンティーナ・リシッツァ

曲目
イザイ   無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ホ短調
アイヴズ  ヴァイオリン・ソナタ 第4番「キャンプの集いの子供の日」
ブラームス ハンガリー舞曲集 第10番,第11番,第12番,第19番,第5番,第20番,第21番
アイヴズ  ヴァイオリン・ソナタ 第2番
イザイ   無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第6番 ホ長調
イザイ   子供の夢
イザイ   無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第1番
バルトーク ルーマニア民族舞曲

ヒラリー・ハーンのリサイタルとあれば、これは何をおいても聴きに行かねば!、ということで、こちらも早々にチケット確保。アイヴスの曲は、それこそアメリカ人でないと演奏しないのではなかろうか、という気もしますが、初めて聴く曲なので楽しみではあります。

2009年1月24日(土)18:00 ザ・フェニックスホール
モラヴィアから世界へ ~土俗のひびき, 越境のしらべ レクチャーコンサートシリーズ [18]

お話 三谷研爾
演奏 古典四重奏団

曲目
ヤナーチェク 弦楽四重奏曲 第1番「クロイツェル・ソナタ」
コルンゴルト 弦楽四重奏曲 第2番 変ホ長調 op.26より
        弦楽四重奏曲 第3番 ニ長調 op.34より

フェニックスホールで時折行われるレクチャーコンサート、古典四重奏団の演奏で、やや珍しいコルンゴルトのカルテットを聴くことができる、というのは、もしかするとかなり貴重な体験になるかも、との期待をこめて、「聴きに行きたいリスト」に挙げておきます。

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演奏会レポート:児玉桃 メシアン・プロジェクト2008 「世界トップソリストによる2つの四重奏’時’」

3ヶ月前から楽しみにしていた、児玉桃によるメシアンの「世の終わりのための四重奏曲」を聴きに、休みを取って京都から東京に出向きました。

2008年12月12日(金) 19:00 浜離宮朝日ホール

出演
ヴァイオリン ルノー・カプソン
チェロ    ゴーティエ・カプソン
クラリネット イェルク・ヴィトマン
ピアノ    児玉桃

曲目
メシアン   ヴァイオリンとピアノのための幻想曲
細川俊夫  クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための「時の花」
        -オリヴィエ・メシアンへのオマージュ(日本初演)
メシアン   世の終わりのための四重奏曲

メシアンの幻想曲は、プログラムによると、1933年作曲であるものの、児玉桃により2006年フランス初演され、2007年にデュラン社から出版されたばかり、とのこと。この曲の多くの部分が「キリストの昇天」に利用されることになった、ということでしたが・・・「キリストの昇天」を聴いたことがないので何ともいえないのですが、「前奏曲」や「20のまなざし」や「世の終わりのための四重奏曲」へとつながっていく要素はいくつか聴き取れたような気がしました。

細川俊夫の作品は、何とも微妙な・・・、としか言いようのない感想。メシアンの曲と同じ編成で、という児玉桃のアイディアによって作曲されたというのですが、クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、ピアノ、という特殊な編成で曲が曲として成立するのはかなり難しいのかな、と感じました。

「世の終わりのための四重奏曲」は、特にチェロに細かな傷が多かったような気がしましたが、児玉桃の繊細さと力強さを併せ持ったピアノにリードされて、どうにかうまくまとまったという印象を持ちました。

3曲通してみて、児玉桃の存在感が一番大きかった、というのが率直な感想です。

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