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2008年11月下旬、コンサート2題。

この連休は、21日(金)に京響定期、23日(日・祝)にヴァイオリン・リサイタルを聴いてきました。
23日は3連休の2日目ということもあり、コンサートホールへの移動のために通過した京都市内の主要な駅はどこも凄まじい混雑ぶりでした(@@)

11月21日(金)19:00 京都コンサートホール 大ホール
京都市交響楽団 第518回定期演奏会

指揮 下野竜也
独奏 古川展生(チェロ)

曲目
岡坂慶紀   哀歌(エレジー) ~弦楽オーケストラのために~
グルダ     チェロとブラス・オーケストラのための協奏曲
ベートーヴェン 交響曲第5番ハ短調「運命」op.67

ベートーヴェンの「運命」は、「名曲コンサート」の類で取り上げられることはあっても、定期演奏会で取り上げられることは殆どないし、よくよく考えてみると、一度も「運命」の実演を聴いたことがなかったので、この機会に聴いておこう、ということで、当日は18時の定時ジャストで派遣先を出て、コンサートホールに着いたらプレトークの直前。

下野氏のプレトークでは、「今日の演奏会のテーマはありません。私が皆さんに聴いてほしいと思う曲を並べました。今日は音楽のデパートと思っていただきたいと思います。」とのことでした。

岡坂慶紀のエレジーは、非常に静かな雰囲気の曲ではあったのですが、正直あまり印象に残らないというか・・・。現代曲で弦楽合奏で静かな雰囲気で緩徐な曲はたくさんあるので。

グルダの曲は、ポピュラー音楽の要素を取り入れているとのことでしたが、古臭さは否めないところでした。1980年作曲の作品ということで、その当時のポピュラー音楽を取り入れたのでしょうが・・・。
私が記憶しているポピュラー音楽だと、マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」とかマイケル・ジャクソンの「スリラー」と言った1980年代半ば頃なので、それ以前となると個人的な記憶から古臭さを感じるのでしょう。
もしかすると、あと数十年経って、ポピュラー音楽が完全に過去のものになったときにもう一度聴いてみると、違った印象を持つかもしれません。

「運命」は、やや速めのテンポで、圧倒的な推進力を感じさせる演奏でした。第3楽章コーダからアタッカで続く第4楽章は、CDで何十回、何百回と聴いていますが、やっぱり実演で聴くと迫力が違います。第4楽章のコーダまで聴き終えたときは、カタルシスさえ感じました。

11月23日(日・祝)14:30 バロックザール 青山音楽記念館
荻原尚子 ヴァイオリンリサイタル 2005年度青山音楽賞受賞研修成果披露演奏会

ピアノ 上法 奏

曲目
ブラームス ヴァイオリンソナタ 第1番 ト長調 op.78「雨の歌」
       ピアノとヴァイオリンのためのスケルツォ ハ短調 WoO2
イザイ   無伴奏ヴァイオリンソナタ イ短調 op.27-2
フォーレ  ヴァイオリンソナタ 第1番 イ長調

バロックザールへ行くためには、いつも阪急の桂駅で京都線から嵐山線に乗り換えるのですが、この日は3連休の中日。嵐山に紅葉を観に行くものと思われる観光客でごった返していて、通常では有り得ない混雑ぶり(@@)

プログラムによると、荻原さんはケルンのWDR交響楽団(WDR交響楽団?、と思ったのですが、かつてはケルン放送交響楽団と紹介されていたオケらしいです)のコンサートマスターとのこと。ドイツの名門オーケストラのコンサートマスターということで期待は高まります。

ブラームスの「雨の歌」第1楽章で、ヴァイオリンの1音を聴いた瞬間、響きの美しさと豊かさにすっかり心を奪われてしまいました。音楽が高揚するところでのピアノとヴァイオリンの力強い響きも、繊細な部分での響きも、どちらもとても美しいものでした。その場に居合わせたすべての聴衆もそう思ったようで、第1楽章が終わるや、拍手が沸き起こりました。
第2楽章も第3楽章も素晴らしく、第3楽章の静かに終わるコーダの余韻、音楽自体は終わっていて奏者も楽器から手を離していても、その余韻までも美しいと思えた、ブラームスのソナタでした。
ブラームスのスケルツォは、チェロ用に編曲されたものを長谷川陽子さんのCDで聴き馴染んでいるものでした。「雨の歌」とは打って変わって、力強く勢いのある音楽を聴かせて頂きました。

休憩を挟んで、イザイの無伴奏ソナタ。技巧的かつ緊張感の高い音楽を全く破綻なく演奏される荻原さんの姿に鬼気迫るものすら感じました。
最後のフォーレのソナタ1番。繊細かつ息の長いフレーズをこの上ないと思わせるくらい美しく演奏されました。

全部通してみると、荻原さんと上法さんのコンビネーションが抜群で、おそらく、今年聴いた室内楽の演奏の中でも5本の指に入るくらいいい演奏会だったと思います。
すっかり荻原さんの演奏に惹きこまれてしまい、今週末は愛知県豊田市まで荻原さんの出演する弦楽四重奏の演奏会を聴きに行くことを急遽決めました。

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コメント

初めまして。

荻原尚子さんの演奏会情報を探していてこちらのサイト
にお邪魔させて頂きました。
11月23日の演奏会、私も行きましたが本当に
素晴らしかったですね。
雨の歌とイザイの無伴奏が目当てだったのですが
残りの二曲もすごく良くて
すっかり萩原さんのファンになってしまいました。
とても力強く、美しい演奏だったと思います。
>今週末は愛知県豊田市まで荻原さんの出演する弦楽四重奏の演奏会を聴きに行くことを急遽決めました
豊田市でのコンサートがあるんですね。行ってみたいですが
私にはちょっと遠いので・・・残念です。
次の来京の機会を待つことになりそうです。
どうもお邪魔いたしました。

 

投稿: PEG | 2008/11/25 00:25

PEGさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

私は、「雨の歌」とフォーレが目当てで、どちらもCDでは10年以上聴いていたものの、実演は今回が初めてでした。
実演であれだけ力強く美しい演奏を聴くと、もう一度荻原さんの実演を聴いてみたい、と思い立ち、豊田行きを即断しました。

>豊田市でのコンサートがあるんですね。行ってみたいですが
私にはちょっと遠いので・・・

私は京都府内在住ですが、行動範囲のタガが外れていますので・・・。
豊田に行って、京都のときと同じようにアンケートがあれば、
「ぜひ京都での演奏機会を多くして欲しいです」
とでも書いてくるかもしれません(^^)

投稿: Pelleas | 2008/11/26 21:33

Pelleasさんはじめまして!
荻原 尚子の母です。
実は、今年試しに上法 奏さんのお計らいで尚子とのCDを作りました。
もし、よければ進呈したいのですが・・・

また、昨夜ケルンの尚子から電話があり来年の4月後半に演奏会を持ちたいとの事、フランス人のピアニストでとてもフィーリングの会う方と出会い、その方とコンサートの話になったそうです。京都でもやりたいとの事です。

何か良い御意見が、おありでしたらしらせください。

荻原 周子

投稿: 吾亦紅 | 2010/09/01 06:40

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